2011年12月30日金曜日

科学者のキャリアパス3

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日本での場合、助教、准教授になってもほとんどは独立したラボをもっていません。一方で、アメリカでは、assistant professer やassociate professerのほとんどは独立したラボを持つPI (Principle Investigator)です。つまり、日本では独立して一本立ちすることが大変難しく、独立したときには50代手前ということが多いようです。
ですから、アメリカで独立ラボを運営している人からすると日本の助教はassistant professorではなくてresearch associateと呼ぶべきだといっている人もいます。
最近では、これを改めて、独立准教授・助教なるポストができてきていますが、これは今までは准教授や助教が”独立したポスト”ではなかったという裏返しでもあります。

日本のポスドクはとりあえず、助教や准教授のポストを得ようと努力するわけです。
そして特に優秀なポスドクは独立准教授などのポストを得ます。

でもポストを得るためだけに仕事をするのはつまらないですよね。

まっそういうことね!



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2011年12月26日月曜日

科学者のキャリアパス2

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科学者のキャリアパス1ではちょっと脱線しましたが、
要は、大学院を無事卒業して博士号をとると多くの学生はポスドクといわれる研究員になります。
ポスドクは独立して研究する前に様々なスキルアップに取り組む期間です。独立してラボを持つということはかなりのスキルと力量がいります。例えば、優れた研究を行うだけでなく、その成果をまとめて英語で説得力ある論文が書けなければなりません。また完璧にすばらしい研究等そうそうできるわけありませんから、一流の研究を超一流の研究に見えるようにしてNatureなどのジャーナルにアクセプトしてもらう必要があります。また、エディターにリジェクトされても簡単に諦めないガッツとタフネゴシエーションが必須です。一度リジェクトされてももう一度エディターに手紙を書いて交渉することが超一流誌への道を開きます。

つまりこのポスドク期間に研究手法だけでなく生き残るすべを学ぶ必要があります。そしてこういったスキルは座学で学べるものではなくキリキリと胃が痛いような実践を通じてのみ学べるのです。

科学者のキャリアパス3へ
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科学者のキャリアパス1

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この記事では科学・研究業界に詳しくない方に
科学者のキャリアパスについて紹介したいと思います。

企業で働いている方にはアカデミアについての理解が本当に難しいようです。
そこでここでは、
研究者のキャリアパスや
もっと基本的なところでいうと「どうやって食べてるの?」
という疑問など(これはうちの姉に実際聞かれた)に答えたいと思います。
(もしかしたら、こういう情報があれば、
基礎科学の世界に来る優秀な若者が増えるかもしれないという
淡い期待もあります。)

研究の世界で食べていこうと思ったら、
かなり自立的・積極的に動けるようになる必要があります。
これはかなり、重要なポイントで、自分で物事を考えられる自立的な人は研究者として間違いなく一定の成功おさめると思います。

こういった人にとってポスドク問題は作られたストーリー、"ネタ”に聞こえるでしょう。
ポスドク問題で困っている人を私のまわりでほとんど見たことはありません。
たまに見かける高齢ポスドクの人たちは、
決まって実験をしない、やる気がない(例えば午後4時には帰宅)などの問題があります。
こういった人に職がないのは企業でもおなじでしょ?

やる気があって、人並みにコミュニケーション能力があり(そんなに必要ありません)、努力するひとはたいてい、すばらしい仕事をして、その成果をよいジャーナルに載せて次のポジションを見つけています。

博士号を取得して大学院卒業したばかりの人は、普通ポスドクになります。
ポスドクとは研究だけに専念する研究員のことです。
仕事は研究、そしてその成果をまとめて論文を書くことです。
実は、夢のような仕事な訳です。
任期が2〜3年で短い、だから不安定だと不満をいいますが、2、3年経って誰からも評価されない仕事しかできなければ、それは問題でしょ?
評価されれば、誰かが喜んで雇ってくれます。
優秀な人はそんなにいないんですから。(どこの世界でもおなじです)

次回に続く。
科学者のキャリアパス2



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2011年12月23日金曜日

Halcyon molecular(次世代高速DNAシーケンサー)

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DNAシーケンス法は急速に進んでいます。すごいのはアメリカが手法の開発を猛烈に推進していること。詳しくはgenaport http://genaport.genaris.com/GOC_sequencer_post.php?eid=00008

アデニン・グアニン・シトシン・チミンの四種類の塩基を異なる重金属でラベルし、
それを電子顕微鏡で撮影しDNAの配列を調べるというものです。
電子顕微鏡で撮影してしまえば、数十億塩基を一瞬で読み込めてしまえますから、非常に高速です。
難しいのはDNAを一本引き延ばして基盤上に置くことだと思いますが、Halcyon molecular は非常に細いガラスニードルからDNA一本鎖を出すことでこの問題を解決したと報告しています。
非常に有望な技術になるかもしれませんね。

アメリカの National Human Genome Research Institute が毎年10グループぐらい選んでそれにファンドしている。お金の出しっぷりがのっているサイトhttp://www.genome.gov/27545107
1グループあたり1millionドルから4millionドルも出している。やっぱりアメリカはすごいなあ。
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2011年12月22日木曜日

外部研究資金獲得法

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研究費をとるのは大変だ。
自然科学分野で、国から研究資金をとるのは大変である。

一番オーソドックスな研究資金元は
科学研究費補助金(通称 科研費)
であるが、
オーソドックスであるだけに、ほぼ全研究者が獲得しようとするので、
競争が熾烈である。

そこで、どうやって研究費を獲得するかであるが、
科研費以外に目をむけてみるのが吉である。

製薬会社などは特定の分野の研究に研究助成を行っていることが多いが、
探すと、分野を特定しない基礎研究への助成もある。

ここでは分野を問わない基礎研究助成を探してみた。
(申し込み時期や助成額は23年度のもの)

・富澤研究基金 (1月7日-1月31日 300万円)

・三菱財団自然科学研究助成(1月6日-2月3日, 2000万円)
(個人での受け入れ)

・山田科学振興財団 (〆切 2月29日, 100-500万円 ~200万円)

・武田研究助成 ライフサイエンス研究奨励(締め切り4月5日, 300万円)
(原則、施設での受け入れ、オーバーヘッドチャージ免除のお願い)

・第一三共生命科学研究助成 (4/1〜5/31 100万円 *2年)

内藤記念科学奨励金(研究助成) (6月1日, 300万円)エーザイ

・倉田奨励金 (6月 ~150万円)

・住友財団 基礎科学研究助成 (4月15日-6月30日, 250万円)

・アステラス研究助成 (申し込み時期 5月1日-6月30日, 100万円)

・井上リサーチアワード (締め切り7月29日, 1000万円)

・旭硝子 研究助成 (6月27日ー8月19日, 200万円)

・岸本基金研究助成 (7月1日 - 8月26日 200万円)

・上原財団研究奨励金 対象 基礎医学 (締め切り9月8日 200万円)

・加藤記念バイオサイエンス 研究助成 9月30日 200万円

・笹川科学研究助成 (10月1日-10月14日, 100万円)

・稲盛財団 100万円 7月25日

・持田記念医学薬学振興財団 研究助成 200万円

ほかにご存じのものがあれば教えてください。

早稲田の研究ポータルがよくまとまっている

これらの外部資金を獲得するとき気をつけないといけない点がある。
個人で資金を受け取ると確定申告および税負担が生じるので大学や研究所に受け取ってもらうようにお願いする必要がある。


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ライバル(海外勢)の研究費 NIH Research Portfolio Online Reporting Tools RePORT

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どの世界にもライバルがいるように、
競争があるところには必ずライバルがいるものである。
研究の世界も例外ではなく、
その競争は激しい。

そんなときやっぱりライバルの懐具合は気になるものである。
ライバルが日本人の場合、
科学研究費補助金データベースを検索すれば、だいたいわかる
http://kaken.nii.ac.jp/

しかし、アメリカの研究者となると
どうやってしらべたらよいか途方に暮れるかもしれない。
アメリカの主な研究費(グラント)のソースは、
NIH
NSF
HHMI

だろうか、
ここではとりあえず、NIHのデータベースを紹介する。
見てみると非常に面白い一度ライバルを検索してみては、
NIH Research Portfolio Online Reporting Tools (RePORT)

Natiional Science Foundation のグラントは以下から検索できます。
http://www.nsf.gov/awardsearch/

RePORTのクエリ画面

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2011年12月21日水曜日

インパクトファクター(Impact Factor)

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NatureやScienceなど超一流科学誌に掲載される論文は多くの人に読まれ、
また他の論文から非常に多く引用される。
そのため、どの雑誌がどれくらいインパクトがあるかという格付けに、
この被引用数がつかわれる。(他のひとに引用されるということは
それだけ影響力があるということ、これすなわちインパクト)

インパクトファクターとは
2年間に掲載された論文が引用された総回数/2年間に掲載された論文の数
で決定される。
つまり、その論文誌に掲載された論文が1年間に、平均何回引用されるか
を示した値である。

この情報は毎年、Journal Citation Reportsで発表される。
これは事実上、論文誌の格付けであり、論文誌のエディターは、
この数値をあげるために日々、論文の審査をしている。

そして、当然、研究者はできるだけ、インパクトファクターの高い雑誌に載せようと
日々、奮闘するのである。

なぜなら、インパクトファクターの高い雑誌に論文を載せることは
ステータスであるだけでなく、研究資金獲得のために非常に重要
である。

Natureに論文を載せるということは1億2億のグラント(研究資金)
をとることができるということである。



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