2013年10月10日木曜日

大きな影響を与える研究とは

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ノーベル賞のシーズンですが、
大きな影響を与える研究とは何でしょうか?

iPS細胞の山中さんのように、最初から大きいことを狙っているケースもあるでしょうが、ノーベル賞を受賞する様な研究は、最初は地味で、興味を引かないケースがほとんどです。

論文は引用数が多いことが、影響力の大きさを測る上で重要です。この引用数は大きな偏りがあります。一部の論文はめちゃくちゃ引用されるけれども、大多数はほとんど引用されていません。引用数ゼロという論文も多いのが現実です。

引用というベクトルを使うと、引用関係はネットワークと捉えることができます。つまり、数多くのネットワークを持つ巨大ハブとそれを取り囲む極小ハブ群。

影響力をネットワークととらえると、ある日突然、ある研究が注目され、一気にアクセスが増大するということはありえるわけです。

つまり、最初は地味な研究でも、その近傍の研究群が活発になることにより、巨大ネットワークが築かれるわけです。

つまり、個々の科学者の予見性(結果論ともいえるけれど)が非常に重要ということになります。

今回ノーベル化学賞を受賞した米ハーバード大学のマーティン・カープラス氏、米スタンフォード大学のマイケル・レビット氏、米・南カリフォルニア大学のアリー・ワーシェル氏の研究は、計算機の速度が遅かった当時あまりインパクトはありませんでした。しかし、ムーアの法則のように、コンピュータの速度が複利的に増大した結果、量子化学的計算と分子動力学を組み合わせて分子の酵素反応、ひいては創薬につながるような分子設計ができる現在に至っています。

これは、コンピュータの速度が加速度的に速くなるという予見性に基づいて研究を行ってきた成果といえるでしょう。(当時には、集積密度の限界など、速度の向上の限界説もあったでしょうから。)
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