2014年5月14日水曜日

理研任期付きPIの苦闘

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理研のPI(研究室を主催する研究者=大学でいうと教授)のほとんどは任期制です。
特にBSIやCDBなどの比較的新しい研究センターでは5年更新の任期制です。

だもんで、能力のないPIにとって地獄の回廊のようになっていて、

成果がでない
→面接で運営委員からのプレッシャー(これをやれみたいな)
→その課題をやろうとするが、運営委員のピントがずれてるのでそもそも上手くいかない
→成果でずクビ
という感じになっています。

BSIなどは5年で研究室の半分がいれかわるというかなりドラスティックなことをやっていますので、悲喜こもごもは容易に想像がつきます。
(センター長の利根川さんがばりばりのアメリカ実力主義の信奉者ですから。ある意味で真面目に任期付きPI制度を運用しています。他のセンターは温情主義のなし崩しなのでBSIほど厳しくないみたいですね。)

問題は、運営委員が中間評価などで余計な口出しをして、これこれをやらないとクビと暗にほのめかすので、そのプレッシャーで発狂寸前のPIを見たことはあります。

その分野の専門家でない運営委員がテーマを決めてしまうのは最も愚かなことでしょう。その研究分野のポイントを完全に理解しているわけではないので、どうしてもおかしなことになります。

短期決戦を強いられているPIは中間評価などで、強めに指導されると、研究室継続要件を満たそうと必死になり、創造性を失いがちです。

(結局はそれぞれ研究者の器の大きさの問題になります。評価委員の評価を無視して一発ホームランを狙ってもいいわけで。)

これでまた、PIがポスドクにプレッシャーをかけて、研究室の雰囲気が悪くなるという悪循環起こるわけです。

本来、研究者というものは実力主義で評価されるのは当然で、良いことです。
しかし、日本のアカデミアにはほとんど流動性がないため(特に大学のポスト)、理研だけが、アメリカ式の厳しい競争を行ってしまうと、理研から”出て行け”と言われた人は行き場をうしなってしまうということです。

これはちょっと前の日本の労働市場と相似します。つまり、いったん、会社をやめると、固定化した労働市場では転職活動が困難であるということ。

日本のアカデミアは非常に保守的なため、いったん職を失うと再チャレンジはかなり厳しい。中途半端にアメリカスタイルを持ち込むと詰むという話でした。

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